400Wの家電製品を2時間運用するためには、バッテリーはどのくらい必要でしょうか?

本ブログの読者から質問を頂きました。
DIYソーラー(自作太陽光発電)に興味をお持ちの方の参考になるかも知れませんのでご紹介いたします。


読者M氏からの質問

蓄電池に関して調べていて、このサイトにたどり着きました。
完全自給自足を目指し、蓄電池やソーラ―パネルを購入したいと考えていますが、
電力のことがわからず、何を買えばいいのか迷っています。

蓄電池で、一般的なプロジェクターを使って映画が見られるのかが気になっています。
プロジェクターで映画を一本フルで見るには、どのくらいの蓄電池が必要なのでしょうか?


新潟おてんとサンの返答

はじめましてMさま。

コメントをいただきまして、とても嬉しいです。
DIYソーラーで優雅に映画鑑賞ってステキですね!

さて、プロジェクターをバッテリーで運用の件を以下に考えて見ます。


■インバーターの種類

DC-ACインバーターには、出力する交流電力に違いがあります。
正弦波を出力するものと、矩形波(擬似正弦波、調整矩形波)を出力するものの2種類に分けることができます。

電気製品によっては、矩形波でも問題なく動作するものと、正弦波でなければ問題が生じてしまうものがあります
波形に依存して動作する機器(インバーター方式蛍光灯や、マイコン制御の電気製品)は正弦波を出力するインバーターが必要になります。

余談ですが、僕は矩形波(擬似正弦波、調整矩形波)タイプのインバーターで、
・パソコン
・ノートパソコン
・ドライヤー
・扇風機
を使ったことがあります。

パソコンやノートパソコンは、ACアダプタや内部で交流100Vを直流に変換して使っていますね。
内部で使っているファンのモーターなどは直流(DC)モーターですしね。
なので特に問題なく使えていました。

扇風機に関しては、ちょっとギコチナイ動作になってしまいます。
交流(AC)モーターなので、交流電力の波形を利用します。
つまり、矩形波(カクカクの波)を利用するのでギコチナイ動作になってしまうのですね。

機器をいたわりつつ運用したいのであれば、ちょっと値は張りますが『正弦波インバーター』を使うのが良いでしょう。
完全とは言いませんが、一般家庭のコンセントに供給されているような正弦波に近い電力を確保することができます。

直流電流(DC)と交流電流(AC)の違いや、正弦波と矩形波については、
インバーターの役割と直流電流(DC)と交流電流(AC)の違い
というページで図解してあります。


■必要になるバッテリーの容量

プロジェクターの消費電力にも多々ありまして、単体で250W~500W程度の製品があります。
その中で400Wまでの製品が多いように見受けます。

ですので、
400Wの家電製品を2時間動かす為のバッテリーの容量
について、12Vバッテリーを使う前提で考えてみます。

バッテリーからプロジェクターまでは、
12Vバッテリー
⇒『インバーター』(直流12Vを交流100Vに変換)
⇒⇒『プロジェクター
という接続になりますね。

インバーターが自己消費する分を10Wとすると、
合計410W
の電力が必要ということになります。

410Wを12Vのバッテリーで運用するのですから、
電力(W) = 電圧(V) × 電流(A)』、
『 410W = 12V × 電流(A)』、
『 電流(A) = 410W ÷ 12V 』
電流(A) = 34.17A
12Vバッテリーで410Wの電力を発生させるには34.17Aの電流が必要ということになります。

この34.17Aの電流を2時間必要としますから、
『 34.17A × 2時間(h)= 68.3Ah 』
『 410W × 2時間(h)= 820Wh 』
最低でもバッテリー容量は70Ah程度が必要といことになりますね。

で、バッテリーは100%使い切ることができません
50%使い切っても深刻なダメージを受けるでしょう。

バッテリーのダメージを考慮して、
・一般的なカーバッテリーで25%、
・ディープサイクルバッテリーで50%、
まで使えると仮定します。

つまり、バッテリーから取り出せる電流は
・一般的なカーバッテリーでは容量の1/4
・ディープサイクルバッテリーでは容量の1/2
くらいとして考えるのがバッテリーには優しいと考えます。

12Vバッテリーから68.3Ahを取り出すのですから
・一般的なカーバッテリーで273.3.67Ah
・ディープサイクルバッテリーで136.7Ah
程度の容量を確保すればバッテリーをいたわりつつ運用できそうです。

たとえば、
・40Ahのカーバッテリーなら7個、
・70Ahのディープサイクルバッテリーなら2個、
は必要ってことになります。

だいぶ乱暴な計算ですけどね、ざっくりの目安にはなるかと思います。

バッテリーのダメージなどを考慮して余裕をもって運用するのであれば、
100Ahのディープサイクルバッテリーを2個くらい準備すれば良いだろう
という感じでしょうか。

ちなみに、
バッテリーの容量と使える電力の関係をシミュレーション
というページ(当ブログ)で、

・バッテリー電圧:12V
・バッテリー容量:200Ah
・バッテリー実効値:80%
・インバーターの消費電力:10W
・インバーターの変換効率:75%

という数値を入力してみると、

400Wの機器を3.5時間(3時間半)使えるという結果が出ます。

バッテリーを限界まで使う感じでの計算なので、『話半分』として2時間くらいは使えそうですね。


いかがでしょうか?

12V:200Ahのバッテリーがあれば、400Wのプロジェクターを2時間くらいは使えそうです。

まぁ、バッテリーやインバーターの性能にも左右されるかと思いますので目安としか言えませんが、参考にしていただけると嬉しいです。

実際には、プロジェクターのみならず、DVDプレイヤーなども必要になるかと思います。
消費電力の少ない機器を選んで、なおかつ省電力モードなどで運用するのが良いかもしれませんね。

では、また何かありましたら気軽にメールやコメントしてください。


本ブログでは、読者の皆様からの質問やご意見を出来るだけ記事に反映させていくつもりです。
質問やご意見などなどコメントや直メールで遠慮なくお寄せくださいね。

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以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。



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