ソーラー(太陽光)発電に関する用語集です。
住宅用や、自作・DIYでのソーラー発電でよく使う用語や、初心者には取っ付きにくい専門用語を中心に掲載してあります。
【アレイ/array】
複数枚のソーラーパネル(太陽電池)を直列で接続したものを『ストリング』と呼びます。
さらに、それを並列で接続したものを『アレイ』と呼びます。
『array』とは『整列』や『配列』を意味する単語。
1枚のソーラーパネルの事を『モジュール』、ソーラーパネル内に配置された太陽電池素子を『セル』と呼びます。
【アンペア(A)】
電流の大きさを表す単位。
電流(A) = 電力(W)÷ 電圧(V)で求められます。
100Vの電圧で100Wの電力を消費するということは1Aの電流が流れる、ということになります。
【アーク放電/あーくほうでん】
『電狐(でんこ)』とも呼ばれます。
本来は電流が流れない気体中を電流が流れること。
基本的には『低電圧』『高電流』の状態で発生する現象で、この原理を利用したのが『アーク溶接』です。
自動車用のスターター・バッテリー数個を使って『アーク溶接』をすることも可能。
つまり、自作ソーラーで使っているバッテリーから金属を溶かすほどの『アーク放電』も起こり得るので、リスクを減らす工夫は必須といえます。
【インバーター】
太陽光パネルやバッテリーからの直流(DC)電流を、交流(AC)電流に変換する機器や回路のこと。
出力する交流(AC)電流の大きさや波形の違いによって、さまざまな価格の製品が販売されています。
矩形波⇒擬似正弦波・調整矩形波⇒正弦波というように商用電源の波形に近づくにつれて、また出力が大きくなるにつれて高価となるようです。
【オフグリッド(ソーラー)システム】
電力会社からの商用電源に接続していない状態の独立系の発電システムのこと。
自作ソーラー(DIY)のほとんどは独立系ですね。
グリッド・タイ・インバーターを使って商用電源に(勝手に)接続する方法もありますが、グレーゾーンの真っ只中となります。
対して、電力会社からの商用電源に接続しているシステムを系統連系(オングリッド)型と呼んだりします。
【逆流防止ダイオード/ぎゃくりゅうぼうしダイオード】
『ブロッキングダイオード』と呼ばれることもあります。
自作ソーラー発電においては、ソーラーパネルとバッテリーを直結する場合や、ソーラーパネルを並列接続にする場合に使います。また、電圧降下の少ない『ショットキーバリアダイオード』を使うことが多いです。
『パネル⇒バッテリー直結』の場合、夜間などでソーラーパネルが発電していない時に、バッテリーからソーラーパネルに電流が逆流することを防止します。
『ソーラーパネルを並列接続』の場合、複数パネルの一部が日陰の影響などで発電量に差が出来てしまうときなどに、発電量の大きい方のパネルから発電量の少ないパネルに電流が逆流することを防ぎます。
『ソーラーパネル1枚とチャージコントローラー使用』の場合は、チャージコントローラーが逆流防止ダイオードの働きをしてくれるので、『逆流防止ダイオード』を追加する必要は少ないです。
『バイパスダイオード』とは働きが違うので注意が必要です。また、あらかじめ『バイパスダイオード』が付いているソーラーパネルで、『逆流防止ダイオード付き』と謳っている製品もあるので混同に気をくけてください。
【グリッド・タイ・インバーター(Grid Tie Inverter)】
『GTI/ジーティーアイ』と呼ばれることもあります。
チャージコントローラーと正弦波インバーターを内蔵している機器。
ソーラーパネルを接続すると交流100Vの出力が得られます。
グリッド・タイ・インバーターを家庭用の商用電源(100Vコンセント)に直接つなぐことで商用電源に同調しつつ電力を供給します。
安全性・法の不整備など賛否の分かれる機器であるため『実験用』などとして販売されています。
【光害/こうがい・ひかりがい】
光によって何かしらの被害が発生してしまうこと。
太陽光発電が普及する以前は、夜間の照明による迷惑を指すことが多かったようです。
ソーラー発電に関連する『光害』は、太陽光がソーラーパネルに反射することによる被害を指します。
光害による訴訟も起こっています。
【公称最大出力(Pmax)/こうしょうさいだいしゅつりょく】
『W/ワット』
ソーラーパネルの能力を表したもの。
そのソーラーパネルが特定の条件下で発生することが出来る最大の出力のこと。
特定の条件とは、『モジュール表面温度25℃』『分光分布エアマス=1.5』『放射照度1000W/m2』といったようにJISで定められています。
実際の出力は天候やパネルの表面温度などによって公称最大出力を下回るのが普通。
太陽電池モジュールは『公称最大出力の±10%以内であれば出荷できる』ので、製品によっては当たり外れもあります。
【公称最大出力動作電圧(Vpm)/こうしょうさいだいしゅつりょくどうさでんあつ】
『V/ボルト』
負荷を接続した状態での最大の電流。
公称開放電圧より低い電圧になります。
【公称最大出力動作電流(Ipm)/こうしょうさいだいしゅつりょくどうさでんりゅう】
『A/アンペア』
負荷を接続した状態での最大の電流。
公称短絡電流より低い電流になります。
【公称開放電圧(Voc)/こうしょうかいほうでんあつ】
『V/ボルト』
負荷を接続しない状態での最大の電圧。
公称最大出力動作電圧より高い電圧になります。
【公称短絡電流(Isc)/こうしょうたんらくでんりゅう】
『A/アンペア』
負荷を接続しない状態での最大の電流。
公称最大出力動作電流より高い電流になります。
【再生可能エネルギーの固定価格買取制度/さいせいえねるぎーのこていかかくかいとりせいど】
『FIT/feed-in tariff/フィードインタリフ』
2012年に導入された、再生可能エネルギーの買取価格を法律で定めることで設備導入を助成する制度のこと。
一般の電力消費者への販売価格を遥かに上回る買取り単価ためにであることと、一般の電力消費者の負担でまかなっていることから批判の声も。
【サルフェーション】
バッテリの電極板に付着した非伝導性の皮膜のことを『サルフェーション』と呼びます。
鉛バッテリーというのは、放電するときにバッテリー液(希硫酸)の硫酸と亜鉛が結合して電極版(鉛板)の表面に硫酸亜鉛が蓄積してしまいます。
この『サルフェーション』は本来はとても柔らかい物質で、充電することによって電気分解されてバッテリー液に戻ります。
常に充電しながら使用されている鉛バッテリーは結合と電気分解を良好なサイクルで繰り返します。
ですが、長期間放置されたバッテリーなどは蓄積された『サルフェーション』が硬化してしまいます。
非伝導性(電流を流さない)皮膜ですから、硬化した『サルフェーション』が蓄積すると電極版(鉛板)の表面積が減るのに加えてバッテリー液(希硫酸)の濃度(比重)が軽くなってしまい、結果として鉛バッテリーの性能が落ちてしまいます。
『サルフェーション』を最小限に抑えるためには、長時間の放電や深放電を避けて常に充電しながら使うのが効果的です。
【商用電源/しょうようでんげん】
電力会社から電力消費者に届けられる電力と、その電力を送電するための設備全般のこと。
西日本では60Hz、東日本では50Hzの電力が供給されています。
【スターター・バッテリー】
鉛蓄電池の一種。
自動車に搭載されていて、エンジンを起動するのに用いるバッテリー。
エンジン始動する時のみ(きわめて短時間)に大電流を消費して、エンジンが掛かっている間は常に充電しながら使用するという設計のバッテリーです。
ディープサイクル・バッテリーと比べると鉛プレートが薄く(スポンジ状になっているものもあり)、空に近い状態まで放電(深放電)した場合は消耗が激しいです。
完全に放電(バッテリー上がり)までの使用を2回繰り返してしまうと寿命を迎えてしまうともいわれています。
【ストリング/string】
複数枚のソーラーパネル(太陽電池)を直列で接続したものを『ストリング』と呼びます。
【セル/cell】
ソーラーパネル内に配置された太陽電池素子を『セル』と呼びます。
太陽電池を構成する最小単位。
【ソーラーパネル/solar panel】
『太陽電池・太陽光パネル』
太陽電池素子(セル)を一まとめにしてパネル状にしたもの。アルミの枠やガラスで覆われている。
現在では、結晶シリコンを使ったものが主流で、単結晶モジュールと多結晶モジュールに分けられます。
【太陽光サーチャージ/たいようこうさーちゃーじ】
『固定価格買取制度』の導入によって、一般の電力消費者(国民)が支払うことになった電気料金のこと。
太陽光発電を促進するために、再生可能エネルギーの買取を全国民が負担している構図となっています。
国民全員参加型の『太陽光発電促進付加金』などと呼ばれたりもします。
【多結晶シリコン/たけっしょうしりこん】
多結晶ソーラーパネルは、変換効率は劣るものの『単結晶シリコン』のソーラーパネルより安価。
『単結晶ソーラーパネル』と比べると、パネルの青味が強く個々の結晶がステンドグラスのような模様になって見えます。
【単結晶シリコン/たんけっしょうしりこん】
単結晶ソーラーパネルは、変換効率は高めだが『多結晶シリコン』のソーラーパネルより高価になりがち。
とはいえ、ソーラーパネルの供給が過多気味で、年々安くなってきています。
設置スペースと発電能力との兼ね合いで、DIYにおいてもよく使用されるソーラーパネルです。
【チャージコントローラー】
ソーラーパネルからの電力をバッテリーに充電するための機器。
『ディープサイクル・バッテリー』や『スターター・バッテリー』を流用して自作ソーラー発電で蓄電するときに用います。
製品によって機能も価格もさまざまで、モニター機能が全く無いものからLCDメーター搭載のもの、タイマーを内蔵したものなどがあります。
【直列回路/ちょくれつかいろ】
電子部品や機器を接続する方法のことで、電流の経路が分岐していない回路を直列回路と呼びます。
ソーラーパネルやバッテリーの接続方法も『並列』や『直列』という単語で表すことが多いです。
【ディープサイクル・バッテリー】
鉛蓄電池の一種。
空に近い状態まで放電(深放電)しても繰り返し充電して使える設計のバッテリーです。
スターター・バッテリーと比べると鉛プレートが厚く耐久性に優れているので深放電しても劣化が少ないのが特徴です。
とはいえ全く劣化しないワケではなく、深い放電を繰り返すほど寿命が縮むスピードも増します。
一般的に、50%ほどの放電サイクルで使うと、コスト:寿命のバランスが良いとされています。
スターターバッテリーに比べて充電するのに若干高い電圧が必要な場合が多く、フル充電するのに専用の充電器が必要な場合もあるので注意が必要です。
【デ・サルフェーション】
『略⇒デサル』
『サルフェーション』の影響で性能が劣化した鉛バッテリーに対して、『サルフェーション』を除去する事で性能を回復させることを『デ・サルフェーション(デサル)』と呼びます。
具体的には、『パルス充電器』などでバッテリーを充電することにより、表面の硫酸亜鉛を剥離させてバッテリー液に戻す(溶かす)ことを言います。
【突入電流/とつにゅうでんりゅう】
電気機器の電源をONにしたときに一時的に大きな電流が流れること。始動電流とも呼ばれます。
モーターを使う電機機器で始動直後(一瞬)に定格電力の以上、時には数倍の電力を必要とします。
モーターを使わない電気機器でも回路内のコンデンサをまず充電するために突入電流が発生します。
白熱電球などの場合は、フィラメントが冷たいうちは抵抗が低いための大きな電流が流れます。
【トリクル充電】
バッテリーの自然放電を補う程度の小電流で絶えず充電することを『トリクル充電』や『維持充電』と言います。
過充電によるバッテリーへのダメージを抑えつつ、満充電の状態を保つことができる充電方法。
『サルフェーション』を防ぐ目的で満充電付近で『トリクル充電』を行うと効果的。
【日照時間/にっしょうじかん】
日照計によって観測した『直達日射量が120W/m2以上』である時間、1日のうちで日が照っていた時間のこと。
『直達日射量が120W/m2』以下というのは、直射光でも影が出来ない程度の日射量をいいます。
日本国内でも地域によって日照時間に違いがあり、降水や降雪の多い地域ほど日照時間は少なくなる傾向にあります。
【二次電池/にじでんち】
蓄電池(ちくでんち)とも呼ばれる電池の仲間。
充電することで電力を蓄えることが出来て、放電(消費)しても充電することによって再利用が出来る電池のこと。
【バイパスダイオード】
太陽光モジュールは複数のセルで構成されます。その太陽光モジュールの中で、日陰などの影響で発電できないセルは抵抗となってしまいます。
発電していないセル(抵抗)は他のセルが発電した電力を消費(発熱)してしまいます。場合によっては発熱によってパネルが破損することもあります。
この『発電していないセル』を回避するために、セルとは並列に『バイパスダイオード』を接続して使います。
セルが抵抗となってしまった場合、他のセルで発電した電流が『バイパスダイオード』を通ることで『抵抗となったセル』を回避する仕組みです。
ソーラーパネルを直列接続にするときも『バイパスダイオード』を用います。
【パワーコンディショナー】
『パワコン』と呼ばれることもあります。
太陽光発電システムで発電した電力を、家庭などの環境で使用できるように変換する機器のことで、インバーターの一種。
ソーラーパネルからの電流は直流(DC)で、しかも電圧が一定では無く不安定です。それを商用電源に準じるクオリティの交流100Vに変換・調整し、家庭で利用可能な電力を出力します。
また、停電時などは日照があれば自立運転機能で電力を供給することが出来ます。
ソーラー発電などの発電機を管理する役割りも担っていて、単に『インバーター』と呼ばれる機器とは機能も価格も全く別物です。
太陽光発電において、『チャージコントローラー』や『インバーター』というと自作(DIY)で使う機器を指すことが多いですが、『パワーコンディショナー』というと『商用系統(電力会社)』との『系統連系』を前提とした製品を指すことが多いです。
『グリッド・タイ・インバーター』を『実験用パワーコンディショナー』などと銘打って販売していることもありますが、別のお品物です。
【並列回路/へいれつかいろ】
電子部品や機器を接続する方法のことで、電流の経路が複数に分岐している回路を並列回路と呼びます。
ソーラーパネルやバッテリーの接続方法も『並列』や『直列』という単語で表すことが多いです。
【ボルト(V)】
電圧の大きさを表す単位。
電圧(V) =電力(W)÷ 電流(A)で求められます。
1Aの電流が流れていて100Wの電力を消費するということは100Vの電圧がかかっている、ということになります。
【メガソーラー】
大規模なソーラー発電や施設のこと。
出力が1MW(メガワット)以上で、広大な土地を必要とする設備を指すことが多いです。
2012年の『再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT/feed-in tariff/フィードインタリフ)』導入以降、メガソーラー事業に参入する事業者が相次いでいます。
【余剰電力/よじょうでんりょく】
太陽光発電などで発電した電力のうち、消費しきれずに余った電力のこと。
【余剰電力買取制度/よじょうでんりょくかいとりせいど】
家庭や事業所が太陽光発電などで発電した電力のうち消費しきれずに余った余剰電力を、電気事業者に一定の価格で買取るように義務付けた制度。
2009年から2012年まで実施されていて、現在は固定価格買取制度に移行されています。
電力を買取る単価は年々下がってきています。
【連系/れんけい】
『系統連系(けいとうれんけい)』
『連携⇒×』
ソーラー発電などを用いて家庭や事業所で発電した電力を、電力会社からの商用電源に接続することをいいます。
対して、自作ソーラー(DIY)発電のほとんどは系統連系していない(できない場合が多い)ので独立系(オフグリッド)と呼ばれたりします。
【ワット(W)】
電力の大きさ(仕事量)を表す単位。
電力(W)= 電圧(V) × 電流(A)で求められます。
100Vの電圧で1Aの電流が流れると、電力は100Wということになります。
1W=1000mW(ミリワット)
1000W=1kW(キロワット)
1000kW=1MW(メガワット)
1000MW=1GW(ギガワット)
【ワットアワー(Wh)】
電力量を表す単位。
電力量(Wh)= 電力(W)× 時間(h)で求められます。
100W電力を1時間つかうと100Whということになります。
150Wの電気製品を、2時間使ったとすると300Wh、4時間使ったとすると600Wh、ということになりますね。
使った電力と、経過した時間と、電力量の関係は以下の通りです。
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■=100W、1行=1時間
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1時■■(200W)
2時■■(200W)
3時■■(200W)
4時■■(200W)
5時■■(200W)
200W × 5h = 1000Wh
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1時■(100W × 1h)
2時■■(200W × 1h)
3時■■■■(400W × 1h)
4時■■(200W × 1h)
5時■(100W × 1h)
100Wh+200Wh+400Wh+200Wh+100Wh = 1000Wh
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以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。