本ブログの読者さまから質問を頂きました。
DIYソーラー(自作太陽光発電)に興味をお持ちの方の参考になるかも知れませんのでご紹介いたします。
■読者H氏からの質問
手元に中古ソーラーパネル157w(公称20.27V、7.75A、開放25.4V、短絡8.44A)が10枚あります。
こちらでディープサイクルバッテリーに充電し、短時間でも丸ノコなどを使えるシステムをつくりたいと思います。(将来は冷蔵庫や照明なども)
この10枚でしたらおてんとサンでしたらどのように組まれるかをできましたら参考にさせていただきたいです。
Q1 パネルのおススメの組み方は?
①2直列5並列 → 8.44×5=42.2A で大きすぎ危険?
②3直列3並列 → (パネル1枚サブシステムに)、12Vバッテリー4直列×2並列に?
③2直列3並列+2直列2並列 → 制御機器とインバータがダブル?
④その他の組み方
Q2 ③のように分けて組む場合は、TS-MPPT-45 1台で制御できるのでしょうか?
Q3 Q2の続きでバッテリー(EB1006~8台程度)及びインバーター(SK-1500-124等)も1つで良いのでしょうか。それとも、分けた方が良いのでしょうか?
Q4 最近は安いMPPT制御器がありますが、どう思われますか?
お時間がありましたらご返答をよろしくお願い致します。
■新潟おてんとサンの返答
こんにちはHさま。
メッセージありがとうございます。
『157Wのパネル10枚の使い道』とは、ナカナカ羨ましいお悩みですね!
昨今の円安の影響で輸入品の価格が上がってしまい、輸入パネルのを検討するも、同等品が数年前の1.5倍ほどで販売されていている状況。
10枚のパネルは有効に使わなければなりませんね。
さて、ご質問の件。
ソーラーパネル、157W:20.27V:7.75A、を10枚使うときの組み合わせ、
について、僕なりに思うところを書かせていただきます。
①2直列5並列
『157W:20.27V:7.75A』のソーラーパネルを2直列5並列にすると、
『1570W:40.54V:38.75A』(公称値)
※開放電圧は50.8V
となります。
場合によっては電流が40Aを超えるかもしれないので、僕ならばこの構成は避けるでしよう。
24時間体制で監視できるのであれば良いのでしょうけれども、『もしも』の場合を考えるとチョット不安、という感じです。
お出掛けや旅行のときに心配になってしまいます。
例えば、以下のようなチャージコントローラーがあれば管理できそうですね。
システム電圧:12/24/36/48Vdc
最大充電電流:45A
最大入力電圧:150Vdc
バッテリー電圧範囲8~72Vdc
最大入力電力:
12V:600W
24V:1200W
36V:1800W
48V:2400W
ただし、24Vで1200Wまでの入力なので、1570Wを入力するにはバッテリー電圧を36V以上のシステムにする必要があります。
12Vバッテリー3直列で36V。
コレをいくつも並列にするっていうのもチョット微妙です。
②3直列3並列
『157W:20.27V:7.75A』のソーラーパネルを3直列3並列にすると、
『1413W:60.81V:23.25A』(公称値)
※開放電圧は76.2V
となります。
パネル1枚を他に回してしまいますが、できなくもないですね。
設置スペースがソーラーパネル9枚で丁度良いとか、何かしらの理由がある場合はこういうのもアリでしょう。
例えば、以下のようなチャージコントローラーがあればギリギリ管理できそうですね。
最大充電電流:30A
システム電圧:12/24/48Vdc
最大入力電圧:160V
最大入力電力:
12V:429W
24V:858W
48V:1716W
※ただし、24Vで858Wまでの入力なので、1413Wを入力するにはバッテリー電圧を48Vのシステムにする必要があります。
>>12Vバッテリー4直列×2並列に?
これはチャージコントローラーの性能によります。
上記で例に挙げたチャージコントローラーを使うのであれば、バッテリーは4直列で48Vを維持させる必要がありますね。
③2直列3並列+2直列2並列
『157W:20.27V:7.75A』のソーラーパネルを、
A:2直列3並列にすると『942W:40.54V:23.25A』、
B:2直列2並列にすると『628W:40.54V:15.5A』、
となります。
この場合も、それぞれに見合ったチャージコントローラーを使えばOKです。
ただ、チャージコントローラーもバッテリーもインバーターも、A用とB用の2系統分が必要になりますね。
用途に合わせて2系統の独立ソーラーが必要であれば、こういう方法もありでしょう。
離れた複数箇所でそれぞれ電力が必要であれば、こういうパターンですね。
あとは、1つは用途が限定されていて、チャージコントローラーやインバーターはそれ用を準備。
あまった物でもう1系統の独立ソーラーを作る、といった場合でしょうか。
③のように分けて組む場合は、TS-MPPT-45 1台で制御できるのでしょうか?
TS-MPPT-45の仕様は、
最大充電電流:45A
システム電圧:12/24/36/48Vdc
最大入力電圧:150V
最大入力電力:
12V:600W
24V:1200W
36V:1800W(明記されていませんので予想)
48V:2400W
ただし、24Vで1200Wまでの入力なので、1570Wを入力するにはバッテリー電圧を36V以上のシステムにする必要があります。
このチャージコントローラーには、『157W:20.27V:7.75A』のソーラーパネルを10枚入力することができるので、③のように分けて組む必要は無いかと考えます。
ですが、10直列や10並列では最大入力範囲を超えてしまうので、それ以外の組み合わせで使いましょう。
③のように分けて組む場合は、バッテリー(EB1006~8台程度)及びインバーター(SK-1500-124等)も1つで良いのでしょうか。それとも、分けた方が良いのでしょうか?
チャージコントローラー1台で使うのであれば、インバーターは1つで良いかと。
2つの独立したシステムにするのであれば、パネル、チャージコントローラー、インバーター、バッテリー、は2組必要になります。
④その他の組み方
まず、ここまでをまとめてみると、
・チャージコントローラーはTS-MPPT-45
・バッテリーはEBバッテリー6~8個程度
・できれば独立ソーラー1系統で
という構成を検討されているのかなと考えます。
パネルが多いので、バッテリーを4直列48Vとして運用するのが良いのではないでしょうか。
なので、インバーターはSK-1500-148等のような48Vを入力できるものが良いかと考えます。
バッテリーを並列で運用する・しないは別としても、多くのバッテリーを使いたいのであれば、まずは直列でバッテリー電圧を増やす方向ですね。
チャージコントローラーの選択肢がTS-MPPT-45の一択なのであれば、
・2直列5並列
1570W:40.54V:38.75A(公称値)
※開放電圧は50.8V
・5直列2並列
1570W:101.35V:15.5A(公称値)
※開放電圧は127V
・3直列3並列(パネル9枚)
1413W:60.81V:23.25A(公称値)
※開放電圧は76.2V
の入力が可能となりますね。
この中で新潟おてんとサンであれば、5直列2並列を選ぶでしょう。
パネルを10枚使い、尚且つ電流を抑えることができます。
細いケーブルや面積の少ない接続箇所に40A以上の電流を流すよりは安全かなと考えます。
100V以上という電圧ですから感電します!
ただ、しっかりと絶縁処理をすれば良いだけです。
低電圧高電流でケーブルが一瞬で発火してしまうリスクと比べれば、100Vで感電の用心なんて容易いものです。
TS-MPPT-45はバッテリー電圧を48Vまで認識しますから、12Vバッテリーなら4直列48Vで使えます。
この48Vバッテリーをさらに並列にするのは、あまりお勧め出来ません。
8つ(もしくは12個やそれ以上)のバッテリーが均等に劣化せず、著しく劣化してしまうバッテリーが出てしまいます。
DIYソーラーで費用が掛かるのがバッテリーなので、バッテリーをいたわれる構成にするのが最終的に経済的でエコなのかなと。
12Vバッテリーを6直列72Vとかで使えれば良いのですが、TS-MPPT-45では厳しいのかも知れません。
仕様上のシステム電圧は『12/24/36/48Vdc』ですからね。
ただ、『バッテリー電圧範囲:8-72VDC 』という表記もあるので、このチャージコントローラーの仕様については良く確認する必要があります。
販売されている各々のチャージコントローラーを眺めると、バッテリー電圧は48Vまでの製品が目立ちます。
なので、価格と性能のバランスを考えると、6~10万円ほどのチャージコントローラーではこの辺が限界なのかな?と感じます。
となると、12Vバッテリーを4直列で2並列にしたい・・・というジレンマですよね。
インバーターも48Vバッテリーまでのものは簡単に手に入る印象ですし。
とはいえ、僕自身はバッテリーを並列で運用していますし、ご自身が納得できるのであれば4直列で2並列のバッテリーでやって見るのも良いかと考えます。
ただ、僕はその領域に踏み込んだことがありませんので、アドバイスできるのはこの辺が限界かと。
ここまで書いて、僕の思うオススメ構成をまとめると、
・パネルは5直列2並列:1570W:101.35V:15.5A
・感電のリスクと低電圧高電流でケーブル発火のリスクなら、感電のリスクを選ぶ
・バッテリー電圧が48Vまでのチャージコントローラーが多いので、12Vバッテリーを4直列
といった感じです。
最近は安いMPPT制御器がありますが、どう思われますか?
『TS-MPPT-45』で10万円前後。
同じような仕様のチャージコントローラーであれば、安くても5~7万円はするかと思います。
1.5KWとかのソーラーパネルを使うのであれば、許容できるのはこの程度かと考えます。
値段だけを基準に考えるのであれば、これ以上安いのはチョット不安ですね。
といいつつ、新潟おてんとサンはちゃっかり『安いMPPT制御器』を購入していたりするのですが・・・。
まぁ260W/24Vという入力範囲で2万円チョット。
1.5KWのパネルを使うには同チャージコントローラー6台で6系統の独立ソーラーを作らねばなりません。
これでチャージコントローラーにかかる費用は12万円です。
例えば、下記の仕様で4万3千円ほどで売られているチャージコントローラーもあります。
最大充電電流:30A
システム電圧:12/24/48Vdc
最大入力電圧:160V
最大入力電力:
12V:429W
24V:858W
48V:1716W
MPPT制御の追従性もそうですが、そもそもの耐久性などで違いが現れるのでは?と感じます。
あまりにも安すぎるのは論外ですが、用途に応じて安い製品も検討はしてみますね、僕の場合は。
いかがでしょうか。
なかなか長々と書いてしまいました。
走り書きなので、誤字脱字などあるかも知れませんがあしからず。
あくまで、『新潟おてんとサン』の考えなので、『上記が全て正解』ではありません。
僕は、基本的にはテキトーで臆病な人間に分類されます(笑)
なので、多少ルーズな運用でもケガの少なくなるような構成で運用する必要があるのです(汗)
以上、Hさまの参考になれれば幸いです。
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以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。