240W:29.9V:8.03Aの中古の太陽光パネルが多数あるのですが、チャージコントローラーの選び方が分かりません。パネルの組み合わせなど教えていただけませんか?

本ブログの読者さまから質問を頂きました。
DIYソーラー(自作太陽光発電)やグリッド・タイ・インバーター(GTI)に興味をお持ちの方の参考になるかも知れませんのでご紹介いたします。


読者さまAH氏からの質問

はじめまして。

チャージコントローラーの選び方が分からなくて困っています。

カナディアンソーラー多結晶ソーラーパネルを廃棄処分価格で分けてもらいました。
公称最大出力:240W
公称最大出力動作電圧:29.9V
公称最大出力動作電流:8.03A
という仕様です。

このパネルを並列で接続して、チャージコントローラーの最大アンペアーを上回らないように計算していました。
この方法で問題などはありますか?

あと、チャージコントローラーの並列接続も考えています。
出来るだけ、チャージコントローラーの数を減らしたいのですが、あちらこちらのホームページを見ていると、分からなくなってきました。

以上教えてください。
よろしくお願いします。


新潟おてんとサンの返答

はじめましてAHさま。
メッセージありがとうございます。

僕なりに思うところを書かせていただきますね。


まず、下記のような仕様の30Aのチャージコントローラーを使うとして考えてみます。

最大電流:30A
システム(バッテリー)電圧:12/24V(自動認識)
最大入力電圧:100V

チャージコントローラーには、入力できる電力に制限があります。
大まかに電流だけで30Aチャージコントローラーなんて言ったりしますが、実際には細かく仕様が決まっています
つまり、その仕様の範囲内でパネルを接続すればOKです。


パネルは、240W:29.9V:8.03A/1枚です。

このパネルを並列で接続していくと、
2並列で580W:29.9V:16.06A、
3並列で820W:29.9V:24.09A、
4並列で1060W:29.9V:32.12A、※ここ以下はアウト
5並列で1300W:29.9V:40.15A、

といった具合です。

4並列にした時点で電流が32.12Aとなり、例えのチャージコントローラーの仕様を超えてしまいます

なので、
上記例えのチャージコントローラーに対して、
並列接続のみで240W:29.9V:8.03Aのパネルを使うのであれば、
3枚が限界、
ということになりますね。


パネルは、240W:29.9V:8.03A/1枚です。

このパネルを直列で接続していくと、
2直列で580W:59.8V:8.03A、
3直列で820W:89.7V:8.03A、
4直列で1060W:119.6V:8.03A、※ここ以下はアウト
5直列で1300W:149.5V:8.03A、

といった具合です。

4直列にした時点で電圧が119.6Vとなり、例えのチャージコントローラーの仕様を超えてしまいます

なので、
上記例えのチャージコントローラーに対して、
直列接続のみで240W:29.9V:8.03Aを使うのであれば、
3枚が限界、
ということになりますね。


パネルは、240W:29.9V:8.03A/1枚です。

このパネルを3直列で接続すると、
820W:89.7V:8.03A、
ですね。

この3直列のパネルを、並列で増やしていきます。

3直列をさらに2並列で、
1640W:98.7V:16.06A
(パネルは合計6枚)

3直列をさらに3並列で、
2460W:98.7V:24.09A
(パネルは合計9枚)

3直列をさらに4並列で、
3280W:98.7V:32.12A
(パネルは合計12枚)
※例えのチャージコントローラーでは、ここ以下はアウト

といった具合です。

3直列を3並列で、2460W:98.7V:24.09A(パネルは合計9枚)であれば上記のチャージコントローラーに接続できる計算です。


※実際は、入力する電流や電圧のほかに、充電するバッテリーの電圧ごとにパネルは何Wまでという制限もあります

例えば
12Vバッテリーなら360Wまで、
24Vバッテリーなら720Wまで、
36Vバッテリーなら1080Wまで、
48Vバッテリーなら1440Wまで、
といった表記です。

30Aのチャージコントローラーですから、
12V × 30A = 360W 、
24V × 30A = 720W、
36V × 30A = 1080W、
48V × 30A = 1440W、
のパネルを接続できるワケですね。

チャージコントローラーによって使用上の数値は微妙に違います。
ここでは分かりやすく『 電圧(V) × 電流(A) = 電力(W) 』となるように数値を設定しました。

流せる電流は30Aが上限ですが、電圧を上げれば結果的に使えるパネルを多く出来ると、そういう表記ですよね。


とにかく、チャージコントローラーの仕様の範囲内に収まれば良いんです。

ただ、
電圧が上がっていけば感電の可能性が、
電流が上がっていけばケーブルや接点からの発火の可能性が、
それぞれ上がっていきます。

一般的に、低電圧・高電流の方が発火しやすく危険となります。


モノによっては、下記のようなチャージコントローラーも販売されています。

システム(バッテリー)電圧:12/24/36/48V
定格電流:60A
最大入力電圧:150V

こういうチャージコントローラーであれば、
3直列をさらに4並列で、3280W:98.7V:32.12A、(パネルは合計12枚)
という構成でも余裕がある状態です。

ただし、充電するバッテリーの電圧ごとにパネルは何Wまでという制限があるチャージコントローラーが多いです。


>>チャージコントローラーの並列接続

チャージコントローラーの出力を並列でバッテリーに接続して充電するっていうことですよね?

これはやったことが無いので僕は返答をすることはできません。

出来なくは無いみたいですけどね。
ただ、メリットが少ないというか、初めから大きな容量のチャージコントローラーを準備する方が楽かなと考えます。

実験的に、ネタ的に、やってみるのは良いのかなと。
ただ、チャージコントローラーの製造元が推奨する方法を逸脱して使うことになる場合もあるでしょう。
それで何かが起こってしまった場合、そういう時が大変かもしれませんね。


>>チャージコントローラーの数を減らしたい

240Wのパネルが多数ですから、チャージコントローラーを使ってバッテリーに充電するには大量ですよね。

発電した電力は全てバッテリーに充電する感じなのでしょうか?
発電と同時に使う予定なのでしょうか?

最終的に、どういった状態にしたいのかが重要かと考えます。


『240W:29.9V:8.03A』という仕様のソーラーパネルは、電圧が高く設計されているタイプです。
パワーコンディショナーを使って系統連係するようなシステムで使われていたものでしょう。

こういうパネルをバッテリー充電のために用いるのであれば、チャージコントローラーの仕様にもよりますが、電圧を上げる方向で考えるのが良いかと考えます。

電流がケーブルの許容を超えてしまうと簡単に発火します。
自動車のバッテリーに繋がっているケーブルが太いのは、そうならないためだったりします。
で、大きなトラックは12Vバッテリーを2つ積んでいますが、並列接続ではなくて2直列で24Vで使っています。

今回ご呈示のパネルは1枚30Vほどの電圧です。
これを2直列にして60V。
で、バッテリー12Vを4直列で48V。
チャージコントローラーが耐えられるなら、っていう前提ですが、こういう感じで組む方がシステムをシンプルに、尚且つ電流を低く抑えることが出来るかなと考えます。


本ブログでは、読者の皆様からの質問やご意見を出来るだけ記事に反映させていくつもりです。
質問やご意見などなどコメントや直メールで遠慮なくお寄せくださいね。

また、当コーナーでの僕の返答は、あくまでも『新潟おてんとサン』の思うところであります。
コレが全て正しいとか、そういう意味合いの意見ではありません。

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以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。



5 thoughts on “240W:29.9V:8.03Aの中古の太陽光パネルが多数あるのですが、チャージコントローラーの選び方が分かりません。パネルの組み合わせなど教えていただけませんか?

  1. 通りすがりの人

    本職の充電器の設計技術者です。

    充電器を並列に接続したい場合は、二次側に定格の倍の容量の電力用のダイオード二個を現物の記号(アノード、カソード)に合わせて繋ぐと良いですよ。これはお互いに逆電圧が掛からないように保護しています。
    で、そのダイオードは出来る限り大きな放熱フィンや鉄板、扇風機で冷却して下さい。加熱異常を起こしてチュドンです。
    また、電圧は各々の充電器で出来るだけシビアに数値を合わせて下さい。
    負荷のかかり方が電圧差のままバランス崩れを起こします。

    なお、自動車用鉛バッテリーは2.4V/セルで充電して下さい。優しく扱うと、寿命が伸びます。また、業務用の密閉式は2.23V/セルで充電して下さい。

    返信
  2. 通りすがりの人

    あ、それからもう一点。
    蓄電池が満充電になると、ダイオードが暴走するのでとっとと電源を落とすか、タイマーで切るか、ちょろっと擬似負荷の抵抗に電流を流してやって下さい。0.3Aくらいでしょうか…
    あとはオームの法則で計算したら良いですよ。

    返信
    1. 新潟おてんとサン 投稿作成者

      はじめまして、通りすがりの人さま。
      コメントありがとうございます。

      充電器を並列にする場合は逆流防止用のダイオードを用いれば良いとのこと。
      バッテリーに対してチャージコントローラーを並列接続にする場合にも、この方法で機器の破損を防げると、そういうことですね。

      自動車用鉛バッテリーは2.4V/セル、12Vバッテリーの場合は6セルなので14.4V、で、
      業務用の密閉式は2.23V/セルで、
      それぞれ充電するようにするとバッテリーに優しいとのこと。
      充電電圧を設定できるチャージコントローラーなら、バッテリーに優しい設定で寿命を延ばせますね。

      注意点としては、ダイオードの発熱/放熱の対策と、満充電時の対応。

      大変参考になりました!
      また何かありましたら気軽にコメントなど残していってください。

      返信
  3. まっくんち

    記事と無関係ですが、200V仕様のバッテリー対応グリッドタイインバータに充電池付きイオンリチウムバッテリーを組み合わせて、家庭用常用蓄電システム実験を開始しました。

    システム全体の充放電効率は70%程度で、毎日充電量2kWh,放電量1.4kWhです。
    実験開始一週間ほどですが、200V連系でも順調に運転している模様。
    プログラムタイマーを組んでいるので、蓄電池増設したら、蓄電池単位で放電時間帯を設定して、蓄電池並列の循環電流を回避させる予定。

    初期システム単価は中華でそろえると7万円/kWh。
    今後の増設費は5万円/Kwh程度で構築できますので、コストパフォーマンスは良いと思っています。

    DIYソーラーさんの記事でグリッドタイインバータを知ることになり、現在太陽電池と蓄電池を接続したGTIが合計3台になりました。
    記事がとても参考になりありがとうございました。
    お礼と現在までの実験報告を勝手にさせてもらいました。

    返信
    1. 新潟おてんとサン 投稿作成者

      おはようございます、まっくんちサマ。

      グリッドタイインバーターと蓄電池の組み合わせ、うまく稼働しているんですね!
      僕の場合は、パネル直の従来のタイプしか運用していませんので、何とも羨ましいお話です。

      バッテリーやインバーターを介する際のロスが、やはり気になるポイントですよね。

      また何かありましたらコメントお待ちいたしております。

      返信

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