合計480Wのパネルでオフグリッドソーラーを計画しています。70Wほどの冷蔵庫を使いたいのですが、アドバイスをいただけませんか?

本ブログの読者様から質問を頂きました。
DIYソーラー(自作太陽光発電)に興味をお持ちの方の参考になるかも知れませんのでご紹介いたします。


読者M氏からの質問

はじめまして。Mと申します。

このたび、カンボジアの電力が行き渡っていない地域で、オフグリッドソーラーを製作する運びとなりました。

パナソニックHIT120αを4枚、合計480Wは準備してあります。
1500Wほどのインバーターとチャージコントローラーは日本で準備したものを、バッテリーは現地で手配します。

現地でもバッテリーを用いたオフグリッドソーラーを設置しているところがありますが、1年ぐらいでバッテリーの持ちが悪くなってしまうそうです。
また、子供たちが重いバッテリーを抱えてバッテリーの充電屋さんに通っている状態なのです。

用途は、
・70Wほどの1ドア冷蔵庫
・夜の照明
・テレビ
・スマートフォンの充電等
です。

なにかアドバイスをいただけたら有難いです。


新潟おてんとサンの返答

はじめましてMさま。
メッセージをいただけて嬉しいです。

カンボジアでは、道路・港湾・航空以上に、電力関係のインフラが整備されていないと耳にします。
当然ですがインターネットの整備も進んでいないので、スマートフォンのように無線でインターネットに接続できる機器の方が早く浸透・普及しているといったことも聞いたことがあります。
あくまで聞きかじっただけですけどね。

また、当ブログにも『off grid』地域でソーラー発電を活用したいという質問も寄せられます。

あくまで新潟おてんとサンの素人的な意見ですが、思うところを書かせていただきますね。


■まず、お伝えいただいた状況を整理して見ます。

準備する機器
・ソーラーパネル、120W:5.51A:26.2V/4枚(HIT120α)
・チャージコントローラー、??
・インバーター、1500W
・バッテリー、??

運用する機器
・冷蔵庫、70W/24h
・照明、??W/8h
・テレビ、??W/5h


■1日に必要な電力は?

仮に、
・冷蔵庫、70W/24h、70W × 24h = 1680Wh
・照明、50W/8h、50W × 8h = 400Wh
・テレビ、50W/5h、50W × 5h = 250Wh
とすると、

1日で2330Whくらいの電力が必要ということになりますね。


■バッテリーはどんなタイプを使うのか?

例えば、
・12V:40Ahのバッテリーだと480Wh
・12V:100Ahのバッテリーだと1200Wh
・12V:200Ahのバッテリーだと2400Wh
程度の電力を取り出せます。

さらに、DC-ACインバーターを介して交流電力に変換する際のロスなどがありますし、バッテリーのカタログ値も話半分程度に受け止めておいた方が賢明です。


■1日(24時間)で2000Wh程度使うのに、どのくらいのバッテリーが必要か?

バッテリーのスペックの半分位を目安にすると、単純に2倍の4000Whほどあれば2000Wh程度の電力を取り出せそうですね。

ってことは、
・12V:40Ahのバッテリーだと8~9個
・12V:100Ahのバッテリーだと3~4個
・12V:200Ahのバッテリーだと2個
程度のバッテリーが必要ですね。

日中はソーラーパネルで発電して、バッテリーに充電しながら運用するワケです。
なので、パネルが発電する分と直接消費する分、そしてバッテリーに充電する分を加味して考えるべきです。

それでも、バッテリーの容量には可能な限り余裕を持たせたいところです。
というのは、趣味のDIYソーラーとは違って、バッテリーの劣化が生活の利便性に直結してしまいそうだからです。


■ソーラーパネル、120W:5.51A:21.8V/4枚(HIT120α)が1日に発電する電力は?

日本とは気候がまるで違うかと思います。
カンボジアの有効日照は日本の2倍程度と聞いたことがあります。
それぞれまとめてみます。

○日本では、日照の良い時期の晴天時で、1日あたり4時間分ほどの発電をします。
つまり、120Wのパネルでは『120W × 4h』で480Whほど発電します。

これで考えると、合計480Wのパネルでは『480W × 4h』で1920Whほど1日に発電できるといえます。

24時間通電の必要がある冷蔵庫が常に70W、それとインバーターの自己消費などもありますから、

日中(10h)に発電した電力1920Whのうち、
・冷蔵庫700Wh
・インバーターの自己消費(仮に15W)150Wh
を差し引いた分をバッテリーに充電することになります。

つまり、発電した電力のうち、850Whはそのまま消費してしまい、1070Whは充電にまわされる計算ですね。
ただ、充電ロスを考えると1070Whを丸々充電できるワケではありません。

○カンボジアの場合は日本の1.5倍で考えて見ます。
日照の良い時期の晴天時で、1日あたり6時間分ほどの発電をします。
つまり、120Wのパネルでは『120W × 6h』で720Whほど発電します。

これで考えると、合計480Wのパネルでは『480W × 6h』で2880Whほど1日に発電できるといえます。

24時間通電の必要がある冷蔵庫が常に66W、それとインバーターの自己消費などもありますから、

日中(10h)に発電した電力2880Whのうち、
・冷蔵庫700Wh
・インバーターの自己消費(仮に15W)150Wh
を差し引いた分をバッテリーに充電することになります。

つまり、発電した電力のうち、850Whはそのまま消費してしまい、2030Whは充電にまわされる計算ですね。
ただ、充電ロスを考えると2030Whを丸々充電できるワケではありません。

上記で考えてみた1日に必要な電力は2330Whでした。
なので、日本の1.5倍で計算した場合の発電量の方が上回っていますね。

実際に運用してみなければ何とも言えませんが、日没までにバッテリーが満充電になるなら何とか24時間体制で運用できそうです。
ただし、1年間365日晴天が続いたとして、という条件がつきます。

たとえカンボジアであっても、2~3日くらい日照がない場合や雨季なども考慮しておくべきでしょう。
そう考えると、12V400Ah程度のバッテリー容量でも不安が残る、というのが正直なところです。

また、24時間体制で運用すると、DC-ACインバーターの寿命が一気に短縮しそうです。
24時間運用を謳っている日本製のインバーターもありますが、そういった製品でも壊れるときは壊れます。
冷蔵庫があるのは承知の上ですが、1日の中で数時間でもインバーターを停止できるのであれば、インバーターやバッテリーへの負担を減らすことができます。


■まとめてみます

チャージコントローラーやバッテリーにどのような物を使うのか分かりませんので、上記内容はあくまで推測となってしまいます。

それでもポイントがあるとすれば、
・バッテリーの容量は出来るだけ大きく
・運用する電気製品の消費電力は出来るだけ小さく
・インバーターを介さずに使えるDC機器の使用も検討
といったところです。

貯められる電力は大きく、使う電力は小さく、ロスも小さく、ですね。


>>なにかアドバイスをいただけたら有難いです

バッテリーが劣化してしまうのは『深く放電しすぎた』のでしょう。
バッテリーは空になるまで使ってしまうと深刻なダメージを受けます。

一般的なカーバッテリーでもディープサイクルバッテリーでも、上手に使えば3年以上は持ちます。
『点かなくなるまで使う』というのが一番のダメージにつながります。
とにかく、バッテリーの容量を増やすのが長持ちさせる秘訣です。

また、120W:5.51A:21.8V/4枚(HIT120α)を4並列にする構成かと思います。
とすると、22Aという電流が直流部分に流れます。
現地でのケーブルなどの部材調達は大変かもしれませんが、できることなら直流部分には5sq(スケア)程度のケーブルを入手して使ってみてください。

テレビは、乾電池で動くようなものや、ACアダプタを使って動かすタイプであれば、その機器に見合った直流電力を与えることで、インバーターを介さずに使えるでしょう。
DC(直流)で使える冷蔵庫的なものもあることはあります。

もう1点、気になる部分。
仮定ですが運用する機器の消費電力の合計は170Wほどです。
このほかに使いたい機器があるとしても、1500WのDC-ACインバーターはちょっと大きいかな?と感じました。

インバーターの自己消費電力は出力できるW数が大きくなるにつれて大きくなってしまいます。
また、壊れやすい機器なので600Wとか800Wとかの製品にしてコストを抑えたり、2つ準備して予備としたり、そういう方法もあるかと思います。


>>子供たちが重いバッテリーを抱えて

バッテリーの数を増やして、交換しながら使うのが良いかと思います。
バッテリーが元気なうちに次のバッテリーに交換して、はずしたバッテリーは速やかに充電です。

・・・バッテリーの絶対数が足りていないことも予想されるので簡単にはいえないのでしょうけれど。

僕は実際にカンボジアに赴いたことがないのでネットや知人からの情報しかありません。
カーバッテリーを家庭の電源として流用していたり、バッテリー液が沸騰するほどガンガン充電したり、蒸留水ではなくて川の水を補給したり、といったことを聞いたこともあります。

バッテリー液が沸騰しているかの状態は、要は水素ガスを出している状態です。
古いバッテリーを充電しようとすると、ブクブクとガスばかり出していて電圧が上がらない、ということがあります。

こうなると、そのバッテリーは寿命ともいえるのですが、使い古したバッテリーを、それでも使わなければならない状況なのでしょう。

Mさまのオフグリッドソーラーが、カンボジアの方々の役に立ってくれると良いですね。


いただいたメッセージに対して僕が考え得ることといえば、ザッとこんな感じです。

走り書きなので誤字脱字や意味不明な点もあるかと思います。

また、何かありましたら気軽にメールしてみてください。


いかがでしょうか、以上が新潟おてんとサンの返答です。
使う機器などは推測で答えなければならない部分もありますが、僕の考え得ることを書かせていただきました。

また、オフグリッドソーラーにおいては、ネットで多数の方の情報を得ることができます。
なかにはDIYソーラーで売電まで行っている猛者もチラホラ。

僕の拙い知識だけでは足りないかもしれませんから、そういったの方々の記事も参考にしてみて欲しいと考えます。
このブログで紹介しているオフグリッドソーラーは、規模の小さい趣味のレベルですから。

たくさんの情報が氾濫しているのも事実なのですが、それだけ沢山の考え方や運用方法があるのもまた事実です。
DIYソーラー情報を提供している方々は沢山いますし、素晴らしい情報や知識を惜しげもなく伝えてくれています。

僕自身も、もっと有益な情報を提供できるように成長していきたいと考えています。


本ブログでは、読者の皆様からの質問やご意見を出来るだけ記事に反映させていくつもりです。
質問やご意見などなどコメントや直メールで遠慮なくお寄せくださいね。

よくある質問集メニュー

以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。


合計480Wのパネルでオフグリッドソーラーを計画しています。70Wほどの冷蔵庫を使いたいのですが、アドバイスをいただけませんか?」への6件のフィードバック

  1. しゅんすけ

    先生のブログで勉強させて戴いております、有難うございます。

    カンボジアの情報をご参考までにお伝えします。
    私が2010年から2013年までカンボジアで仕事していて得た個人的な情報です。

    ・電力インフラはプノンペン市内と一部の過疎地域以外では殆ど整備されていませんでした。
     カンボジア国内で本格的な石油・天然ガス生産が行われておらず、大型発電所が無りません。
     国土の大部分が平坦であり、大型ダムもあまりないため、水力発電もあまりありません。
     首都のプノンペンや観光地であるシエムリアップでは輸入燃料による小型発電や隣国からの
     売電で必要な電力がまかなわれていました。

    ・過疎地域の家庭では一般的にソーラーパネルか、巡回バッテリー充電屋さんを使っていました。
     バッテリーは安価で壊れやすい中国製、高性能で高価な日本製は人気がなく、
     そこそこの性能で日本製より安い韓国製が一番人気でした。

    ・インターネット環境は全土で整っています。2010年以前にMetfone (ベトナム系通信会社)が
     カンボジア全土に電波網を整備したため、過疎地域でもWifi(3G回線経由)が使えます。
     コンポントムという田舎に車で向かう時も移動しながらずっとWifi接続できました。

    ・過疎地域の水につき、殆どの家庭で雨水を貯めて利用しています。お金持ちは井戸です。
    川の水は不衛生という感覚があったと思っており、殆ど使っていなかったように記憶してます。

    返信
    1. 新潟おてんとサン 投稿作成者

      こんにちは、しゅんすけサマ。
      コメントありがとうございます。

      趣味の戯言ばかり綴ったブログなのですが、オフグリッドソーラーに関しては多くの方に読んでいただいている様子で、身の引きしまる思いです。

      不景気といえど、発展途上の国と比べればまだまだ豊かな生活が出来ている我が国です。

      日本よりもむしろ、電力インフラの未発達な国や地域でこそ、オフグリッドソーラーなどが必要とされているんですよね。

      貴重な情報をお寄せいただきまして感謝いたします。

      またお立ち寄りの際には、気軽にコメントしていってくださいね。

      返信
  2. 多牌

    初めまして! 200wのパネル一枚でオフグリッドを楽しんでいる者です
      去年の9月一週間ほどカンボジアを旅してきました。
     ロンサレム島であったバーの経営者な福岡にすんでいた方でいろいろお話ししましたが、
     今はガソリンエンジンの発電機で運営しているようなのでソーラーはどうかなと言ったら やはりバッテリーが高価でソーラーは考えていないようでした。 しかしたとえば直流でそのまま使える冷蔵庫に容量の半分くらい保冷剤をいれて運用すればかなりいけるんじゃないかと思わせるような9月の日差しと気温でした。 直流でそのまま使える耐久性の高い冷蔵庫ができませんかね〜?

    返信
  3. 新潟おてんとサン 投稿作成者

    はじめまして、多牌さま。

    DC冷蔵庫も色々ありますが、それなりのを揃えるとなると・・・やっぱり高価です。

    保冷剤で運用は実用的ですね。
    DC冷蔵庫であれば交流に変換するロスも無いですし。

    >>直流でそのまま使える耐久性の高い冷蔵庫ができませんかね〜?
    欲しいですよね!

    丁度、24Vバッテリーのオフグリッドソーラーを考えているところなのですが、インバーターが決まらず1年もパネルやバッテリーを放置しています(汗)

    DC24Vを直流のままで利用する方向でやってみても面白そうです。

    返信
  4. ケロ

    ブログを拝見しております、今回、100ボルトから200ボルト位のチャージコントローラを探しています。ご存知でしたら、ご教示いただきたくこちらに書き込ませていただきました。最近、3種類のソーラーパネルで5kw分位を確保しました。それから4kwのパワーコンも確保しました。自動車バッテリーを 10個直列に接続して120ボルトシステム位を考えています。バッテリーのチャージコントローラーで100ボルト以上200ボルト位のものがないか探しています。ご存知のものがあれば、ご紹介いただけないでしょうか。

    返信
    1. 新潟おてんとサン 投稿作成者

      コメントありがとうございます。

      充電できるバッテリーの電圧が100~200Vのチャージコントローラーとのことですが、ざっと調べたところでは、上限が60V程度のものしか見つけられませんでした。

      お力になれず申し訳ありません。

      返信

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