DIYソーラーで700Wのエアコンを動かすことはできますか?

本ブログの読者T氏からご質問を頂きましたのでご紹介いたします。


読者T氏からの質問

夏のガレージは断熱材を入れたとは言え暑いですね・・・。

そこでネットで「窓用エアコンをガレージで」ってのを良く見かけます。

太陽光パネルで700Wクラスのエアコンを日中だけ動かすのは無理があるのでしょうか?

電気系は全くの無知でして・・・。
足りない言葉も有るとは思いますが宜しくお願い致します。


新潟おてんとサンの返答

4万円で自作したDIYソーラー発電でドライヤーを使っても大丈夫?
という記事で自作のソーラー発電でドライヤーを動かしたことを書きました。

この時のドライヤーの消費電力は5~600W程度だったと考えています。
ドライヤーを最強にして動かせば1200Wの消費電力となるのですが、僕の自作したシステムでは動かすことが出来ませんでした(汗)

このことから、倍の威力のソーラー発電を自作すれば、とりあえずエアコンは動かせると思います。
5・6時間の連続運用に耐えるようにするには、もう少し規模を大きくする必要があると考えます。

以下に、エアコンが動かせる(かも知れない)自作ソーラー発電の構成を書いて見ますので参考にしてみてください。


どんなに晴れた日でもソーラーパネルが発電する電力は安定しない

例えば、合計で1000Wのソーラーパネルを使ったとしても、発電する電力は0~1000Wの間を行き来して安定することはありません。

安定するとしたら、南中(太陽が最も高い位置)の前後1時間程度、1日の中で正味2・3時間ほどの時間となるでしょう。
この2・3時間は800Wや1000Wで発電してくれると思いますが、その前後は太陽の高さに応じた発電量となってしまいます。

つまり、使用する電力を安定させるにはバッテリーと組み合わせて使うことが必須となります。

ちなみにお伝えいたしますと、新潟おてんとサンの家の京セラのソーラー発電は3.3KW(3300W)のシステムです。
南中前後の1時間ほどが発電のピークとなります。

バッテリーについては、自動車用のバッテリーを多数使うことでの運用はリスクの方が大きくなるのではないか?と感じます。
100Ahクラスのディープサイクルバッテリーを3・4つ使うのが良いかもしれませんね。


12Vのバッテリーを使う前提でのソーラーパネルは?

『150W/18V』程度のものが良いでしょう
これ以上大きなパネルになると『200W/36V』といったものになってしまうので12Vのシステムには向きません。

『180W/18V』程度のソーラーパネルも見かけますね。
100Wの物でも良いのですが枚数が増えてしまいます。

この『150W/18V』クラスのパネルを4枚揃えれば600Wの出力を確保できます。


600Wのソーラーパネルを使う前提でチャージコントローラーを選ぶ

余裕を持たせて50Aの入力に対応した物が良いでしょう。

合計600Wで出力が18Vのソーラーパネルとなると、MAXで33.3Aもの電流を発生させます。
600W ÷ 18V = 33.3A
P = IE(電力W = 電流A × 電圧V)
I = P / E(電流A = 電力W ÷ 電圧V)

33.3Aの電流というと、30A契約の一般の家庭ではブレーカー(漏電遮断機)が降りてしまうほどの電流です。
ギリギリの物を使うよりは、余裕を持たせた機器を使うのが懸命と考えます。

50Aのチャージコントローラーでは、900W(理論値)までのソーラーパネルが使えるということです。

ここで15%のマージンを考慮すると、
900W ×(1 – 0.15)= 765W
までのソーラーパネルが使えるという計算になります。

765Wでも大丈夫なチャージコントローラーで600Wのソーラーパネルを使うので安全性を確保できる、ということになりますね。


700Wのエアコンを使えるインバーターは?

注意が必要なのは、『出力が700Wのインバーターでは役不足』という点です。

エアコンや洗濯機や掃除機などのモーターを使う家電製品は、電源を入れた直後に最大の電力を消費します。

700Wのエアコンの場合は、電源を入れた直後は700Wの電力を消費するが、部屋が冷えてくるにつれて消費電力は下がってきます。
起動時に700Wの電力を消費していたエアコンが、20分後には100W程度の電力しか使わないこともあるのです。

とはいえ、モーターの起動時には定格の数倍の電流が流れます。
モーター起動時の過電流を考えると、やはりインバーターにも余裕を持たせることが懸命といえますね。

エアコン以外にも、多数の電気製品の使用に対応することも考慮して、出力が1200Wや1500Wの正弦波インバーターを使用するのが良いと思います。


ここまでの自作ソーラー発電の構成を整理してみる

気になる費用(見積もり)もついでに出して見ましょう(電気屋さん風に)

すべてヤフオクで検索して調べてみました。

・150W/18Vのソーラーパネル4枚(合計600W)
18,730円×3
・100Ahクラスのディープサイクルバッテリー3個
14,600円×3
・入力50Aに対応したチャージコントローラー
9,690円
・定格出力1500Wの正弦波インバーター
17,800円
・システムに見合ったケーブル類
10,000円?
・止め具や架台
15,000円?
—————————————–
合計136,460円となります!

600Wのパネルで発電しつつ、足りない電力はバッテリーで補う、という状態で700Wのエアコンを数時動かすことが可能かと考えます。
まぁ、新潟おてんとサンのドンブリ勘定ですけど・・・(汗)

ナカナカ過激な出費になってしまいますね。
コレだけの大枚を叩いても『700Wのエアコンをやっと動かせるだけのシステム』ということになります。


住宅用の売電もできるソーラー発電と比べる

3.3KW(3300W)の住宅用のソーラー発電システムが100万円以上するのですから、エアコンだけを使いたいのであれば14万円で実現できれば安いのかもしれません。
ただし、上記の自作ソーラー発電は売電できるようなシステムではありません。

1ヶ月のエアコンの電気料金が2,500円とすれば1年で30,000円、4年で120,000円の節約となりますから、4年ちょっと使い切れば元が取れるということになります。
ただ、毎月2,500円分の電力を自作ソーラー発電で使うというのは、かなり難しいと思います。

実際は、夏場はフル化稼動としても春や秋はそうも行きませんからね。
単純に夏・冬で目一杯つかったとしても、元をとるのに8年くらいは掛かるのかも知れません。


結論を簡単にまとめ

『DIYとしては非常に楽しいしチャレンジのし甲斐がある』
『投資を回収するのは意外と時間がかかる』
『ドンブリ勘定なので、もう少しの出費を要するかもしれない』
といったところです。

フゥフゥ・・・以上で本編は終了です。
お疲れ様でした。

毎度ながら長文での返信になってしまって読むのが大変ですよね(苦笑)
いやはや、この回答がT氏のお役に立てれば良いのですが。
いつもながら、ブログの充実につながるような質問を投げ掛けてくれるT氏に感謝しています。


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いかがでしょうか?

T氏とはネットで知り合って以来、趣味の分野でメールを主に交流させていただいています。
読者からの質問というよりは、友人として返答している感じです。

この記事内での提案は、あくまで『新潟おてんとサン』の『ドンブリ勘定』的な構成です。
細かい規格や金額などなど、必ずエアコンを動かせる!とは限りませんので、参考にされる場合は慎重に検討してくださいね。

時間と財布の中身の折り合いが付けば、実験して紹介したいと思います。


本ブログでは、読者の皆様からの質問やご意見を出来るだけ記事に反映させていくつもりです。

誤字脱字や内容の間違いなどのご指摘、質問やご意見などなど、コメントや直メールで遠慮なくお寄せくださいね。


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以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。



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