今回は電源ボタンの破損が原因で起動できなくなってしまった
『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』
の分解手順の解説と応急処置です。
『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』
・CPU、Corei5 3210M/2.5G
・メモリ、4G
・HDD、500G
・15.6TFT WXGA
・OS、Win7 Home Premium64
・グラフィック、Intel HD Graphics 4000
結構豪華なスペック、なのに比較的安価で流通していたノートパソコンですね。
症状としては、
・電源ボタンを押してもウンともスンともいわない
・そもそも電源ボタンを押したときの手ごたえがナイ
・ACアダプタを接続すれば充電状態のLEDは点灯
という状態です。
要はファミコンのボタンが潰れてしまった時ような物理的トラブルってワケですね。
OSがおかしいとかそういう類ではないので、たいがいは部品交換や応急処置で使えるようになります。
深刻度は低いかなと。
ただ、PCショップや電気屋に出しちゃうと1万円とか2万円とか、最低はそのくらいの出費を覚悟しなきゃいけません。
メーカーに送って3週間とか言われちゃいますしね・・・。
それなりに大切なデータもあるし、1か月も使えないのは困るとのこと。
とまぁそういう経緯で僕の元にやって来たという状態です。
分解してもすぐに直る保証はないんですけど、後から部品を調達しても4~5日もかかりません。
とりあえず、やるだけやってみましょう。
ちなみに『Power on Keybord』はBIOSに項目がなく設定できませんでした。
今回のレシピは、
・『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』を分解
・故障個所の特定
・応急修理と動作チェック(分解した状態で通電)
※ヨイ子は真似しちゃいけません!
といった具合になります。
この手のノートPCは、
底面のビスを前部外して、
キーボードを外して、
キーボード下のケーブルを外して、
パームレスト(天板)を外して、
っていう分解手順になるかと思っていたのですが、ちょっと違いました。
以前このブログで紹介した、
『ASUSノートパソコンK53T(ジャンク)がやって来た!ので、リカバリして分解して、とりあえず使える状態にしてみた』
『ノートパソコンのCPUを交換!とりあえずはcore i5 480Mから580Mに換装(Gateway ID59C H52D)』
この2機種は上記手順で分解できました。
ですが今回の『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』はちょっと手順が違いました。
■『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』を分解
・底面
ビスが沢山ありそうな予感です(笑)
HDDとメモリは横長の1枚のカバー(ビス2本)で覆われています。
バッテリーはオレンジ色のイジェクトスライド1か所でポロッと外れます。
・バッテリーと2つのカバーを外しておく
大きなカバーの2本のビスは共締めでHDDを固定しています。
HDDはスライドすれば外れます。(外さなくても分解はできます。)
無線LANのケーブル(メモリ隣の白黒)も外したい所ですが、マザーボードを外さないのであればこのまま作業できます。
・底面とパームレストなどを固定している22本のビスを外す
DVDドライブを固定しているのは1本のビス。DVDドライブの下にビスはありあせん。
ビスの紛失には注意が必要です。
で、最後に組み上げたときにビスが余ってしまうのにも注意です(笑)
・外したビスを配置通りに置いておく
DVDドライブを固定していたビスはドライブとともに保管。
21本のビスはこんな感じで放置。
誤って配置を崩してしまうと・・・最後に組み上げたときにビスが余ってしまうという憂き目にさらされる事でしょう(笑)
・DVDドライブを引き抜く
DVDドライブ側にネジが切ってあるので、ビスはドライブに固定されています。
つまり、マザーボードを外さないのであればドライブを付けたまま作業をすることが可能です。
・本体とパームレストを支えているツメを慎重に外していく
普通はキーボードの取り外しに取り掛かるところですが、キー面からキーボードを外せる気配がありません。
キーボード周囲の隙間も少ないしラッチが見当たりません。
ということで本体わきのツメを外していくことにします。
こういう部分は、僕の場合は接着材なんかに付いてくる柔らかめのヘラで作業します。
・本体はキーボードを外さずとも上下に2分割できた
外周のツメを外していくと、ガバッと本体が上下に2分割できます。
ただし3本のフラットケーブルで接続されているので慎重に。
3本の内訳は、キーボード、タッチパッド、電源スイッチ基板、です。
この3つのケーブルを外さないと分解できませんね。
キーボード下にこの類のケーブルが入っているノートPCが多いのでちょっと戸惑いました。
・タッチバッドとマザーボードを接続しているフラットケーブルをタッチバッド側で取り外す
コネクタの黒い部分を引き上げるとロック解除できます。
・電源スイッチ基板とマザーボードを接続しているフラットケーブルをマザーボード側で取り外す
ここはコネクタ両サイドの固定具をスライドさせて取り外します。
・キーボードとマザーボードを接続しているフラットケーブルをマザーボード側で取り外す
ここもコネクタ両サイドの固定具をスライドさせて取り外します。
・電源スイッチ基板周辺やマザーボード背面にアクセスできる程度に分解できた
本体を底部とキーボード部に分割できました。
ここまで分解してみて、整備性が良いというか親切に設計されているなと感じました。
キーボードを外す手順をスキップしてフラットケーブル3本を外すのみですから、ほどほどに易しいかと。
ただ、この状態からマザーボードを外すのは難儀しそうですね・・・。
今回はマザーボードを外す必要がなかったため、本体底部分の分解はここまでです。
・キーボードとパームレストとタッチパッドが一体となった本体天板部分
タッチパッドと電源スイッチ基板が別パーツで取り付けられています。
キーボードもこの状態から取り外せそうですね。
この機種、ここまでの分解はカンタンですね。
あとは電源スイッチ基板を外してみて、どんなになっているかチェックしてみましょう。
■故障個所の特定
・電源スイッチ部分を分解していく
小さな基板の全体がテープで覆われているので慎重にはがしていきます。
フラットケーブルは基板に直付けです。
・電源スイッチ部分の基板と破損している電源ボタンパーツ
ビス1本でこの基板部分が取り外せます。
電源ボタンをLEDで発光させるためにLED上にボタン本体を配置してありますね。
で、LEDからずらして基板上に配置された電源スイッチをツメ状のパーツで押す形です。
ケースのボタン本体が基板上のスイッチを押すのではなくて、ボタンから突起しているツメ状のパーツで基板上のスイッチを押す仕組みです。
ここが弱いんですね。
・破損していた電源ボタンのツメ
電源ボタンにくっついていたであろう折れてしまったツメ部分です。
ビスほどの大きさのこの部分が折れてしまっただけで、このノートパソコンは起動できなくなってしまったんですね。
ほんの一瞬だけ通電させればPCは起動できるのに、2mmほどのツメの破損でそれができない。
電源ボタン自体は別パーツなのですが天板に融着してあります。
なので、このボタンを交換するのであればキーボードやタッチパッドを除いた天板部分がゴッソリ必要になってしまいます。
部品単体で手に入れようとも考えましたが、とりあえずは応急修理で済ませることにしました。
■応急修理と動作チェック
・薄いプラスチックで、破損していたツメの代用品を製作
薄いプラスチックのパッケージから切り出した板。
これをマスキングテープで折れた部分にくっつけてしまう作戦です(汗)
いかにも応急修理ですよね(笑)
・見た目は悪いです
これでちゃんと機能してくれれば良いんですけどね・・・。
・何度もバラすのは大変なので解体状態のまま動作チェック
3本のフラットケーブルを接続しただけの状態で動作チェックです(汗)
PC自体を深刻に破損してしまう場合もありますので、試さない方が良いかと。
良い子なミンナはもちろん、ワル~ィ大人も真似しちゃいけません!
・ショートさせなきゃバラしたまま動きますね
このままの状態で何度か電源ボタンの具合をチェックです。
でも、何度かに1回はちゃんと機能しない状態。
で、繰り返すうちに何度かに1回しか成功しないような状態に・・・。
まぁ『テープ止め』ですからねぇ(汗)
スペース的にもキツイし接着してもモロいだろうし。
で結局『穴あけちゃいましたー!』(笑)
ボタン部分を替えるのに天板部分をAssy交換しなきゃみたいだし、
ジャンクでパーツ準備するまで持てば良いワケだから、
穴の一つや二つ、痛くもかゆくもナイでしょうよ!
っていう心の叫びとともにピンバイス(小さなドリル)を持ってきている僕でした。
・でもね、結構お気に入りの仕上がりだったりします
最終的に電源ボタンの近くに穴をあけて応急処置の完了っていうオチですよ。
電源基板上のボタンを直接押しちゃえ仕様ってことです。
このノートPCの電源を入れるためには『変形させたクリップ』とか『つまようじ』とか、ほどほどに細くてある程度の強度がある何かが必要ってことです。
まぁある意味で
『これって最強のセキュリティじゃないの?』
とかいって自分を正当化してみたりします(笑)
あ、ちゃんと持ち主の許可はもらってありますよ。
『えっ、あ、穴開けんの!?』
って電話でビビッてましたけど(笑)
この画像みたいに、穴の近くに変形クリップが置いてあって、これで電源入れるなんて思い付かないでしょう!
電源ボタンを押しても無視するのに安全ピンとかでツツクと起動するっていう。
ここに気付かないと永遠に文鎮っていうね(ちーん)
これはこれで、ひねくれ者感があって非常に良いですよ!(いやマジで)
力技に出てしまったっていう・・・なんとなく敗北感もありますけどね。
とりあえず『秘密裏に何とか使える状態(笑)』ではありますから、大成功と言えるでしょう!
■おしまい
いかがだったでしょうか。
『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』の分解自体の難易度はそれほど高くはないです。
ただ、CPUを交換してやろうとか、マザーボードを外す必要がある分解をするのであれば大変かもしれません。
結局はガワに穴を開けて内部に直接アクセスするような応急処置しかできなかったワケですが、ナカナカ面白いPCいじりでした。
ノートパソコン自体がそれこそブラックボックス状態で、メモリやHDDをいじろうとするだけで封印シールがはがれて保証の対象外っていうパターンですからね。
そんな風潮に対するアンチテーゼとして、無理やりにでも分解してガワに風穴を開けてやろうかという心意気ですよ。
・・・ウソです(笑)
ホントはパーツを注文するのが面倒だったのでツイツイっていう経緯です。
ただね、修理に出すよりは遥かに安価で短時間!
だってバラして組みなおしただけですから。
某PCショップではとりあえず1.5万円かかるって言われて僕のところにやって来たワケですしね。
穴開けなんて1分も掛かっていないっていうテイタラク。
でも0円修理ですよー。
で、色々いじって書き殴った挙句に『BIOSでPower on Keybord』いじったらどうなの?っていうことに気が付く優秀すぎるボク(汗)
BIOSが対応していればキーボードから起動する仕様にできるかもしれません。
が、『Gateway(ゲートウェイ) NV56R H54D/K』ではBIOSに『Power on Keybord』の設定項目が見当たりません。
BIOSが対応しているのと同時に、シャットダウン時でも起動に必要なキーボードに通電していることが必須なので、省電力を優先させなければならないノートPCでは無理かもしれません。
別機種で似たような症状になってしまったら、ガワに穴を開ける前に『BIOSでPower on Keybord』を試してみるのが良さそうです。
いやぁ何はともあれ、完全に壊さなくってホントに良かった(汗)
以上、ぼっこし大工気味の新潟おてんとサンでした。
■ノートPCの分解や性能アップ系の記事一覧
『ノートパソコン(compaq620)のCPUを交換してメモリを増設してみた』
『ノートPCのHDDをSSDにクローン、複製したリカバリー領域を使って初期化してみた』
『ノートパソコンのCPUを交換!とりあえずはcore i5 480Mから580Mに換装(Gateway ID59C H52D)』
『ノートパソコンのCPUを『core i5 480M』から『core i7 640M』へ交換!無事に動いて良かったよ(Gateway ID59C H52D)』
『ASUSノートパソコンK53T(ジャンク)がやって来た!ので、リカバリして分解して、とりあえず使える状態にしてみた』
『電源ボタンが破損したノートパソコンの応急修理!『Gateway NV56R H54D/K』を分解してみた!最終的にはガワに穴をあけて何とかしたんだけどね(汗)』※本記事
こんにちは。
うちも全く同じ症状でした。
電源ボタンと電源スイッチが、どう見ても当たっていないのです。
やはりツメが折れていたんですよ。
こういうの、困りますよね・・・。
ほぼ全分解でやっと解明できるとか、ちょっと手間がかかりすぎます。
何とか応急処置はしましたが、穴が開いているので微妙な感じですよね(笑)
東芝ダイナブックで同じ状況になり、大変困っていたところ、こちらに辿り着き、メーカーにも部品がないとのことで修理も出来ず、ダメ元でクリップの先でカバーの下を押してみたところ、電源が!!!
とても助かりました。こうやって記録してくださる方がいらっしゃって、本当に助かりました。ありがとうございました!!!!!
はじめまして、かおり様。
参考になった様子で僕も嬉しいです!
最近のパソコンは演出が凝っていますから、ちょっとおかしなトラブルが起こるんですよね(汗)
道具としてみれば壊れたうちに入りませんし、大切なデータも活かせます。
コメントありがとうございました!
はじめまして。同じ機種で十中八九同じ症状でPCの電源がつかない者です。
質問なのですが、分解作業をはぶき、新潟おてんとサン様と同じようにガワに穴をあける作業だけで解決しますか?
はじめましてヤザワさま。
コメントありがとうございます。
機種も故障個所もコレと全く同じであれば、画像の箇所に慎重に穴を開ければ、クリップなどで直接電源を押すことができるでしょう。
ただ、ピンバイスなど微調整のできるドリルで、慎重に穴あけをするべきかなと思います。
これが一番手間のかからない方法ではありますよね。