本ブログの読者さまから質問を頂きました。
DIYソーラー(自作太陽光発電)やグリッド・タイ・インバーター(GTI)に興味をお持ちの方の参考になるかも知れませんのでご紹介いたします。
■読者さまT氏からの質問
グリッドタイインバーターですが、いまひとつ仕組みがわかりません。
あくまで実験的と書かれておられましたが。
グリッドタイインバーターは直接パネルと接続するみたいですが、パネルの電力はどういう理屈で使う電気製品に供給されるのでしょうか?
同じ位置のコンセントに差し込むのでしょうか?
例えば1日中動いてる冷蔵庫の場合、昼間はパネルから補完的に供給し、夜は自動的に家庭の電源から供給される??
電気自動車の蓄電池に電気を供給するのに、別個に蓄電池に溜めた上でそうすることが何となく無駄ではないかとに思えてきましたので、グリッドタイインバーターから供給できないものかと考えました。
全て間違いで勘違いしてるのでしょうか?
ご教示下さい。
■新潟おてんとサンの返答
>>グリッドタイインバーターですが、いまひとつ仕組みがわかりません。
とりあえず僕の思う所を書かせていただきますね。
まず、DC-ACインバーターの用途から。
ソーラーパネルが発電した(電圧が)不安定なDC(直流)の電力を、
チャージコントローラーを介していったんバッテリーに充電、
バッテリーで電圧を整えられたDC(直流)の電力を使って、AC(交流)100Vを作り出(変換)して、
一般的な家電製品が使えるようにするのがDC-ACインバーターです。
で、12V用や24V用や48V用などのDC-ACインバーターがあります。
それぞれ、12Vや24VのDC(直流)の電力を使って50~60HzのAC(交流)100Vに変換します。
特にグリッド(商用電源網の意)を意識せずに独立した形で運用できますね。
このDC-ACインバーターが発生した50~60HzのAC(交流)100Vを、家庭用のコンセントに供給したらどうなるでしょうか?
AC100Vというのは、1分間に50~60回ほど+141Vと-141Vの間を行き来している電力です。
商用電源が発生している波(50~60Hz)に、DC-ACインバーターが発生した50~60Hzの波をぶつけることになりますから、タイミングによっては打ち消しあったり、増幅しあったりしてしまいます。
結果として、DC-ACインバーターが破損するか家屋の電気製品が破損するか、インバーターの保護回路が働くか、といった事になるでしょう。
つまり、オフグリッドソーラーで作った電力を商用電源に流し込むっていうことはできないワケです。
>>パネルの電力はどういう理屈で使う電気製品に供給されるのでしょうか?
ソーラーパネルが発電したDC(直流)の電力を使って、AC(交流)100Vを作り出すという働きは、DC-ACインバーターと違いはありません。
ただ、商用電源(コンセント)の周波数(50~60Hz)に同調して、その波を壊さないようにAC(交流)100Vを供給してくれます。
ここが一般的なDC-ACインバーターと違う点ですね。
一般的なDC-ACインバーターは、バッテリーで運用する都合上、入力範囲として12Vや24Vや48Vといった各種のバッテリーに向けた仕様になっているっていう事ですね。
そして、商用電源(コンセント)の周波数(50~60Hz)に同調するような機能はありません。
一方のグリッドタイインバーターの方は、ある程度の幅を持った入力範囲になっています。
僕の使っているGTIは、15~60V、~45A、の直流の電力を入力できます。
これだと、200Wパネル2枚の入力も可能ですし、200Wパネル3枚並列の入力もできますね。
GTIは、商用電源に繋がないと動作しません。
同調すべきAC電源がないと、動作のしようが無いんですね。
>>同じ位置のコンセントに差し込むのでしょうか?
家庭のコンセントは、いくつかの系統に分かれています。
各部屋への系統や屋外コンセント、それとは別に独立したエアコン用にコンセントなど。
家屋内にある無数のコンセントは、いくつかの系統ごとに根幹の漏電ブレーカーで切り分けられています。
たとえば、何も負荷機器が動いていないコンセントにGTIで100Wほど給電したところで、他の系統のコンセントにつながっている負荷機器に電力を供給するころにはロスも大きく有耶無耶になっているでしょう。
やはり、発電した僅かな電力を無駄なく使うには、常に負荷機器が動いているコンセントを選ぶべきでしょう。
>>例えば1日中動いてる冷蔵庫の場合、昼間はパネルから補完的に供給し、夜は自動的に家庭の電源から供給される??
冷蔵庫がつながっているコンセントにGTIから給電していれば、仰るとおりの動作になります。
>>電気自動車の蓄電池に電気を供給するのに、別個に蓄電池に溜めた上でそうすることが何となく無駄ではないかとに思えて
そうなんですよね・・・。
そもそもバッテリーってDIYソーラーで使う機器の中では高価な部類に入ります。
バッテリーを使わないっていうだけで安くシステムを構築できますね。
パネルで発電した電力をバッテリーに充電するのに、それこそ20%とか40%とかのロスがあるって言われています。
それをインバーターで交流に変換するので20~30%のロス。
せっかく交流に変換した電力を、今度は直流に変換するのにまたロス。
バッテリーに充電するのに充電ロス。
発電した電力をどれだけ充電に回せているのか疑問になってしまうレベルです。
ただ、AC100Vを得られるというの便利です。
消費電力の少ない家電製品が使えますしね。
もっと無駄を減らすなら、DC(直流)のまま使うことですね。
照明機器なんかは12V用や24V用もありますしね。
バッテリーに貯めて、汎用性のあるAC100Vが必要な場合は、一般的なオフグリッドソーラーが向いているのでしょう。
今回のような用途ですと、電気自動車に対して間接的に商用電源を介して給電するGTIのほうが無駄が少ないといえるでしょう。
まぁバッテリーに充電しないワケですからね。
ただし、給電できるのはパネルが発電している間のみです。
■読者さまT氏からの返答
お世話になります。
色々とわかりやすくお教えいただき、ありがとうございます。
グリッドタイインバーターを使ってソーラーを並列で運用してみます。
実験用かもしれませんが、先生もすでに何年か使って問題ないと書かれてましたし。
我々素人がグリッドタイの場合、どの程度供給に寄与してるのか、簡単に知る方法はあるのでしょうか?
■新潟おてんとサンの返答
設置したら放置でよいですし、楽といえば楽ですね、GTIは。
ただ、GTI本体はなかなかの発熱ですから、夏場の運用は配慮が必要です。
DIYするソーラーの類では、費用対効果というか、かかった費用を回収しやすいかと考えます。
まぁ元を取れるまで、無事故・無故障で運用できるか?ってのは微妙なところですけどね。
>>何年か使って問題ない
定格500WのGTIで200Wパネル1枚での運用。
GTIの負担が少なかったのだと考えています。
GTIにしろインバーターにしろチャージコントローラーにしろ、すこし余裕を持たせて使うのが良いかなと常々考えています。
>>我々素人がグリッドタイの場合、どの程度供給に寄与してるのか、簡単に知る方法はあるのでしょうか?
安価でシンプルなワットモニター的な機器で給電料は測定できます。
これがちょっと気の利いた高級機だとうまく計れなかったりします。
記事を読んでもらえれば良いのですが、消費ではなくて、逆に電力を供給している事になりますから、ワットモニター的な機器が逆流でも測定してくれるっていうのが条件です。
チープなモノほど細かい部分が甘く、逆潮流を測定できると、そういう印象です。
ちなみにですが『F-PLUG』で日々の積算電力などなどを記録しようとしました。
ですが、通常とは逆に供給する電力の測定はできませんでした。
なので、いまだにコツコツと毎日メモをとって記録しています。
本ブログでは、読者の皆様からの質問やご意見を出来るだけ記事に反映させていくつもりです。
質問やご意見などなどコメントや直メールで遠慮なくお寄せくださいね。
また、当コーナーでの僕の返答は、あくまでも『新潟おてんとサン』の思うところであります。
コレが全て正しいとか、そういう意味合いの意見ではありません。
以上、『自作太陽光発電が好き!かんたんDIYソーラー発電』の新潟おてんとサンでした。
太陽光パネルからの発電が消費量を上回ると 電力会社メーターは逆流するんですか
こんにちは、前田さま。
コメントありがとうございます。
給電量が、家屋で消費している電力を上回った場合に逆潮流するかどうか?
についてですね。
例えば、売電契約をしてる場合は、消費量を上回った場合は売電メーターが回ることになります。
ただ、売電契約をしている場合ですので、GTIが給電できる日照があるのであれば、屋根に設置されている系統連係型のパネルの方ががはるかに多くの発電をしていて、売電に寄与している電力は系統連係型のパネルが発電した電力かと。
特に売電契約をしておらず、分電盤や電力メーターが逆潮流に対応しているかどうか不明な場合は、逆流しているかどうか判断が付きません。
ただ、逆潮流している場合は、逆転防止機能の無い電力メーターは逆回転します。